流れ込む新たな水脈 今アツい"H2Whoa"の音楽とは

昨今にわかに注目を集めているバンドがある.その名も"H2Whoa",ハイカラ地方出身の2人組バンドによるバンカラ音楽界へのカチコミである.今回の特集では,バンカラ地方でも爆発的に人気を拡大させている新進気鋭のこのバンドの楽曲を紐解いていく.

H2Whoaのジャケ写.

(画像引用:
https://twitter.com/SplatoonJP/status/1697172379368309166/photo/1
)

まずはバンド構成について話していこう.エレキギター,ベース,ドラム,そしてヴォーカルの従来というバンドサウンドに,シンセサイザのテクノサウンドが合わさる形になる.この構成自体はC-Side・Front Roeと同一のものだが,やはりこれらのバンドと明確に聴こえるサウンドが異なるのだ.これは使用するコードの差に起因するものだと思われるが,反骨精神旺盛なイカタコたちが集うバンカラの音楽と比較して,少し引掛けたコードが多いように思える.バンカラ者から"スカしている"と評価されるのも納得だろう.

さて,それでは楽曲の方に移っていこう.まずは"Ripstop & Go"についてだ.
この楽曲,1聴めで違和感を覚えた読者もいるのではないだろうか.実はこのバンド,1曲目からいきなりウラ拍で入ってくるのである.うーむ,実に捻くれている.曲名に"stop & Go"とある通り,ブレイクを使ったり,ビートを半分にしたりと,あの手この手で緩急をつけてくる,実に遊び心に溢れたナンバーだ.執筆者は,Bメロのカッティングギターとリピート前のコード感で完全にこのバンドに心を奪われた.この楽曲で,ハイカラからの新たな音楽を是非体験してほしい.

続いて,"Aquasonic"について語っていく.
爽やかさを感じるこのナンバー.ギターが,ベースが,シンセサイザが,それぞれの楽器が時に大きく揺れながら,時に飛沫を立てながら自由に,しかしながら音楽全体は4ドラムの4ビートによって大きな1つの水流として流れていく.非常に美しい,芸術としての音楽を感じることのできる1曲だ.どこまで計算づくなのか,彼らの経歴についても気になるところである.

H2Whoaの音楽は,スッと耳を抜けていく,今までバンカラではあまり見られなかったタイプの音楽だ.読者の皆さんには,鼻につくからと敬遠せず聴いてみてほしい.このバンドの音楽は一聴の価値が大いにある.
イカラからの刺客"H2Whoa".この水脈が流れ込むことによって,バンカラ音楽界の潮流はどのように変化するのか.今後もバンカラ地方の音楽には目を,いや耳を離せないだろう.

執筆者:ヤドリ・ヒラメギ
音楽をロジカルに,がモットーの平凡音楽ライター.
イカタコたちの流行の移り変わりについていけないことが多々ある.

(バンカラ地方で数部出版された音楽情報誌より抜粋)